サントリー レシピッタ -あなたにぴったり、お酒に合うかんたんレシピ-

小さな身体にみなぎる力、豊かな栄養、腹持ちのよさコラム

vol.10

2009年6月11日

 じゃがいもはなすやトマトと同じナス科の植物で、地下茎と呼ばれる土の中の茎が丸く大きくなった部分を食用にしています。でんぷん質が多く、ビタミンB1、ビタミンC、カリウム、食物繊維を豊富に含みます。暗く暖かい場所に保存すると、発芽しやすく、芽や緑色に変色した皮にはソラニンなどの有毒物質が含まれます。

 原産地は南米のペルーのアンデス山脈の海抜3800mを越える高地で、紀元前8000年頃には食用に栽培されていました。野生のじゃがいもは有毒物質を含んでいたので、毒の少ない品種を選んだり、寒い気候の中で凍結と乾燥を繰り返す「毒抜き」をして食していたそうです。

 そんなじゃがいもがヨーロッパにもたらされたのは16世紀に入ってからのこと。南米にあったインカ帝国がスペインに滅ぼされ、じゃがいもはインカの財宝とともに大西洋を渡ったのです。スペインに持ち帰った当初は、船中で発芽したじゃがいもをうっかりと食べて毒にあたったり、聖書に載っておらず、種芋で増えるという理由のため「悪魔の植物」と呼ばれ嫌われたりしました。17世紀に入り、ヨーロッパのあちこちで戦争が勃発し、兵士たちが畑を踏み荒らすと、麦はダメになってしまうのですが、地中にあるじゃがいもは影響を受けず、必要な時に掘り出せることがわかったり、高地原産のため寒冷な土地でも収獲できることからアイルランド、北ドイツ、東欧、北欧などで栽培が奨励され、あっという間に庶民の間に広がりました。

 じゃがいもが日本に渡ってきたのは17世紀の初め。インドネシア経由でオランダ人が伝えました。当時、インドネシアはジャガタラと呼ばれていたためにジャガタライモと呼ばれていたようです。本格的な栽培が始まったのは明治に入ってから。1928年(明治41)に川田男爵がイギリスから導入した男爵いもは、現在も栽培されている品種です。じゃがいもは冷涼な気候を好み、北海道、東北などでは年1回収獲する春先栽培、西日本などの暖かい地方では春作と秋作の二期作が行われています。国内生産量300万tのうち8割を北海道が占めています。家庭で使う男爵やメークインなどの食用以外には、ポテトチップスなどの加工用、でんぷん原料用もあります。

 2008年はペルーが提唱し、国連が定めた「国際いも年」でした。小麦、米、トウモロコシに並ぶ「世界四大作物」の1つであるジャガイモは栄養価も高く、他の3種に比べても少ない土地で、しかも厳しい気候でも短期間で収獲できます。さらに、一株の食料となる割合が、他の穀類が約50%なのに対して約85%と優れています。このことから、今問題になっている全世界的な食糧危機を救うのではと、現在じゃがいもに熱い視線が注がれているそうです。

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