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優秀な日本の炊飯器が世界を席巻するコラム

vol.32

2013年9月6日

 毎日のように口にするお米ですが、皆さんはどう食べていますか?「白ご飯でしょう!」と言う人もいれば、中には「味がないと食べにくくて…」という人もいるはずです。昭和の頃は、主食の白米を沢山食べるためにおかずがあるという形の献立が多く、三食毎度白ご飯を食べるということも、特別ではありませんでした。しかし食生活が豊かになり、バブル経済を経て世界中から美味しいものがやってくると、食事はもはや三度ごとに白いご飯中心ではなくなりました。もともと子供たちは給食でしょっちゅうパンを食べていたわけですが、それ以外の朝や夜も、パンのみならずパスタ、ピザ、ラーメン、ハンバーガーなどなどが主食になっていることも珍しくありません。昭和37年は一人当たり100Kg以上を食べていたお米の消費量もどんどん減り、平成21年には60Kg以下になっています。そんなお米離れを何とかしようと、農林水産省がメインになって平成23年から、朝にご飯をしっかり食べようという「めざましごはん」なるキャンペーンが行われています。さらにお米を粉にして、小麦粉のように使うことを推進する「米粉クラブ」などの活動も農水省は支援しています。

 お米は、12000年ぐらい前の中国・江西省、湖南省の遺跡から米の形跡が発掘され、その頃既に栽培されていたと思われます。日本には6000年ほど前に、黒潮に乗った船で、朝鮮半島経由で、中国南部からなどのいくつかのルートで、文字やその他の栽培作物などとともに渡来したようです。6000年前の岡山県の遺跡から日本最古の米の形跡が発見されています。
 日本人とはなじみの深いお米ですが、日本だけでなくインドから東南アジア、中国などの地域で主食として栽培されています。これらの地域で主に栽培されているのは、細長いインディカ種で、米の全世界の生産量の80%以上を占めています。対して日本では短粒種のジャポニカ種がほとんどとなっています。他に東南アジアの島々でジャバニカ種という長さ、幅とも大きな粒の種類もあり、これら3種がメインです。私たちが日頃食べているジャポニカ種は粘りが強く、炊飯器などで炊飯してモッチリとした食感になります。一方、インディカ種は、茹でた後に水気を切って蒸す「湯取り」という方法で調理され、パラリとした食感に仕上がります。ジャバニカ種も同様に湯取りで調理することが多く、インディカ種に似た食感になります。日本ではインディカ種やジャバニカ種はほとんど作られていないので、ピラフやパエリア、ライスサラダに変わったお米が使われていたら、輸入されているものの場合がほとんどです。

 最近世界各地では、日本の炊飯器で炊くとご飯が美味しいということで、炊飯器を使うことが増えているようです。世界で評価の高い日本の炊飯器は、今ではより高級な内鍋に土鍋を使ったもの、銅を使ったもの、羽釜の形をしているもの、真空にして炊飯するものなど各種の工夫を凝らした機種が発売され、炊き上がりの味を競っています。よりこだわりのある人は土鍋で炊いたり、こだわりのない人は電子レンジで炊いたりと、炊飯方法も十人十色になってきました。そこで見直しておきたいのがお米の洗い方です。
その昔、お米を洗うことを「研ぐ」といい、掌(たなごころ・手のひら)の親指の付け根辺りと釜に押し付けて力を入れ、ゴシゴシと米を磨くようにして洗っていました。しかし精米技術が進歩の間に米をはさみ、ゴシゴシとこするように洗いました。まさに「研ぐ」といった洗い方です。その頃の米は精米技術も今ほど高くなく、米自身に糠が多く残っていました。それを研ぐことによってこすり落としていたのです。ところが今の精米されたお米にはほとんど糠が残っていないので、強く研ぐと割れてしまいます。様変わりした、今のお米の研ぎ方をおさらいしましょう。

(1) 釜やボウルに米を入れ、米の倍量ほどの水をいれてさっとひと混ぜしたら素早く水を捨てる。
(2) 水を入れずに米を指だけで、全体を20〜30回ほどむらなくかき混ぜる。
(3) 水を入れて2〜3回混ぜて水を捨てる。
(4) 2)と3)を3回ほど繰り返す。
(5) 最後にもう一度水を入れ、2〜3回混ぜて捨てたら炊飯の量の水を入れる。

この後、夏なら30分、冬なら1時間ぐらい吸水させるのですが、今の炊飯器は炊き始めに吸水させる機能がついているものも多いです。また、ご飯が炊き上がったらすぐに蓋を取らずにしばらく蒸らしますが、それも、最近の炊飯器なら炊飯時間に含まれているものが多いのです。ですからお米が炊き上がったらすぐに蓋を開けて、お米を切るようにふわっとほぐしておくと、食べる時に蓋を開けて釜の形に固まったお米にガッカリ…、ということがなくなります。まずは自分の炊飯器の説明書を取り出して、今一度読んでみるといいのではないでしょうか。そして炊飯器の性能を最大限に引き出してください。
 水洗いがいらない無洗米は、精米の時に糠をほぼ取り除き、空気で吹き飛ばしています。その分お米のカサが減っていますので、専用のカップを使って量らないと、思ったとおりに炊き上がりません。また、無洗米の名の通り洗わなくてもいいのですが、気になるようならさっと一度水を通してもいいでしょう。

 最後に、お米の保存方法を。お米は、精米したてが一番美味しいといわれますが、家庭で毎回精米するのはよほどの凝り性でないと無理。そこでお米の劣化を最低限にするには、買ってきたお米をできるだけ光と空気に触れさせないように、温度変化の少ない場所で保存しておくのがベスト。きちんと密閉できる容器に入れる。温度変化の少ない暗い場所に置く。そんな場所の思い当たらない人は、ペットボトルに入れて、口を硬く閉めて冷蔵庫に入れておくといいでしょう。但し冷蔵庫は乾燥しているので、ビニール袋や密閉できない容器では、あっという間にお米が乾燥しすぎてひび割れてしまいますのでご用心を。さあ、お米の保存法、洗い方、炊飯器の正しい使い方をチェックして、今夜はどのレシピに挑戦しましょうか。

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