赤い色は元気の源!免疫力アップの強い味方ですコラム
vol.30
2013年1月28日
カレーの中にゴロゴロと入っていたり、煮物の中に赤色の添え物として使われることが多いにんじん。原産地はアフガニスタン辺りで、東回りと西回りに別れて日本に伝わりました。江戸時代に 中国(胡)から伝わった大根(蘿蔔)ということで「胡蘿蔔(こらふ)」と呼ばれていましたが、薬用の「にんじん(人蔘)」と同じような根を食すセリ科の野菜と言うことで「セリにんじん」と呼ばれるようになり、いつの間にかセリが取れて「にんじん」となりました。
今、スーパーでよく目にしているのは、西回りでオランダなどから江戸時代末期に伝わった西洋にんじんです。鮮やかなオレンジ色は、カロテン(カロチン)で、人の体内で必要に応じてビタミンAに変化します。ビタミンAは夜盲症を防ぎ、ドライアイや眼精疲労などを改善してくれます。また、のどや鼻の粘膜を健康に保って、風邪などから守ってくれる免疫力向上効果もあります。カロテンをたっぷりと含むにんじんは、まさに寒くなる時期にピッタリの野菜なのです。
東回りで日本に伝わったのは、金時にんじんと呼ばれる真っ赤なにんじんで、16世紀頃に日本にやってきました。この頃は葉も根と同様に食べていたのですが、明治時代以降は一般に根だけを食べるようになりました。真っ赤な色はトマトにも含まれているリコピンで、強い抗酸化作用があり、やはり免疫力の向上効果があるのです。しかしほとんど西日本でしか生産・消費されておらず、京にんじんという名前で、正月用の野菜として年末〜新年の間に市場に出回っています。
2004年(平成16年)8月の国際家政学会での発表によると、油を使って調理するなら200℃にもなる高温は避け、短時間で調理するほうがカロテンの消化・吸収がよくなります。また、私たちの多くが皮だと思ってむいている部分は実は皮ではなく、グルタミン酸やカロテンなどが豊富に含まれているようです。にんじん本来の皮は白っぽくて非常に薄いので、生産地で機械で水洗いする際に、すでにむけてしまっているものが多いそうです。ですから、スーパーでにんじんを買ったらよく水洗いし、皮むきをせずにそのまま調理してもOKなのです。
調理の時に電子レンジを使うこともあるかと思いますが、少量の刻んだにんじんをそのまま電子レンジにかけると、静電気の影響でスパークが発生して、発火することがあるそうです。少しのにんじんを加熱する時には、さっと水を通すなどしてから加熱するようにしましょう。
最後に、にんじんといえば馬の 好物で、鼻先ににんじんをぶら下げられて、食べようと奮起して走る馬というイメージを持っている人も多いのでは?実は馬はにんじんだけが特に好きというわけではないそうです。元来、りんごや角砂糖といった甘いものが大好きなのですが、そういったものが高価だった時代に、比較的甘いにんじんを与えていたので、いつしか馬=にんじんの図式になったようです。
体調を崩しがちな季節、身体が疲れたなと思ったら、にんじんで栄養を摂り、免疫力をぐっと上げてみてはいかがでしょうか。