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玉ねぎは、古代からその効果が知られていたコラム

vol.15

2010年4月13日

 5月初めに旬を迎える玉ねぎは、ユリ科の2年草で、地下茎の周りの葉が肉厚で球状になったもの。分類としては葉菜類に入り、その名「オニオン」は、ラテン語の「ユニオン(真珠)」に由来しています。原産は中央アジアと考えられており、紀元前3000年よりも前から、イランを中心とする西アジアや、中央アジア周辺で広く食べられていたそうです。紀元前2500年ごろ、エジプトでピラミッドの建設に当たっていた労働者達が、ニンニクなどと一緒に食し、パワーの源にしたとの話もあります。それに、その殺菌力を利用したのか、ミイラの包帯の中から玉ねぎのかけらが発見されたりもしています。インドでも同じ頃から食されていたようですが、それより東のアジア諸国には長らく広まっていませんでした。現在も中央アジア、インド、エジプト、シリア、トルコなどでは野生種に近い品種の玉ねぎが作られています。

 玉ねぎは日本には明治初期に輸入され、現在日本で生産されている野菜では、じゃがいも、大根、きゃべつに次いで第4位の生産量を誇っています。日本に入ってきたのは大きく札幌ルートと泉州ルートと呼ばれる2つのルートがあり、それぞれ栽培する品種が異なっています。札幌ルートの玉ねぎは、「少年よ、大志を抱け」で有名なクラーク博士についてきたW.Pブルックス農学博士が、イエロー・グローブ・ダンバースという種類の玉ねぎの種子を北海道に持ち込み栽培したもので、春蒔き秋採りです。北海道は現在では国産玉ねぎの50%近くを生産しており、貯蔵性の高さが特徴です。対する泉州ルートのものは、神戸の外国人居留地に住んでいたアメリカ人から分けてもらったイエロー・ダンバース種で、今では高級玉ねぎとされる淡路島玉ねぎも、泉州ルートで入ってきたものから発展しました。戦後、中部より西では水田の裏作に玉ねぎを作る試みが進み、今や佐賀県が2位、兵庫県が3位の生産量を誇っています。また、1994年以降、玉ねぎの輸入量が一気に増え、主に加工、外食産業で利用されています。
 
 前述したように、玉ねぎには強い殺菌力があり、それが傷口の薬として用いられたりしています。また、旧約聖書には精力剤としての記述も見られます。古代インドのカーマ・スートラや、中世イスラムの千夜一夜物語では、媚薬としても登場。中世ヨーロッパではペストの薬として、明治時代の日本ではコレラに効くとして爆発的に流行り、一気に普及しました。そして今、玉ねぎに含まれる成分による血液サラサラ効果、血糖値抑制効果、殺菌、整腸、発ガン抑制など数多くの効果が明らかにされつつあります。その身近さ、手軽さであまり貯蔵方法を気にされていないかもしれませんが、玉ねぎは水分が大の苦手。買ってきたら入っていたビニール袋から出し、風通しのよいところに吊るすと長持ちします。その時に、使わなくなったストッキングに入れ、1個ずつの間に結び目を作って風通しのよい日陰にぶら下げておき、必要な個数だけストッキングごと切り取ると便利です。

さて、今夜は玉ねぎたっぷりのメニューで、身体のメンテナンスをしてはいかがですか?

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