カラダを温める“ねぎ”は風邪の予防にもコラム
vol.25
2012年2月27日
ねぎはユリ科ねぎ属(※)の多年草の植物で、原産地は中国の西北部〜シベリアにかけてで、中国名で葱嶺という、今のパミール高原あたりとされています。有史以前、今から2200年以上前にはすでに栽培されていたと思われます。中国でねぎは北方の大ねぎ、南方の葉ねぎに分化し、日本には奈良時代よりも前に朝鮮半島を経由して伝わっており、古くから食用として栽培されてきました。日本書紀や延喜式にもねぎについての記述があります。
当時、ねぎは「葱(き)」と呼ばれており、そこから転じて宮中の女官たちが「ひともじ」と呼んでいたようです(現在もその呼び名が残っています)。その後、長く伸びる根(白い部分)を食することからを「根葱(ねぎ)」と呼ばれるようになり、根が深いことから「根深(ねぶか)」との呼び名もできました。
スーパーでは、白い部分の長い白ねぎ(長ねぎ)と、細い緑の葉の部分の長い葉ねぎ(細ねぎ)、それに太くてごつい下仁田ねぎなどを目にしますが、日本には現在大きく分けてその3つのねぎの種類があります。関東などでよく食される白ねぎなどの千住ねぎ群、細い万能ねぎなどの九条ねぎ群、そして下仁田ねぎなどの加賀群です。九条ねぎ群は中国の葉ねぎから、加賀群は大ねぎを元とし、千住ねぎはその中間として誕生したのです。よく関東の白ねぎ、関西の葉ねぎといわれますが、中国北方から伝わった大ねぎ系は寒冷な産地を好み、南方から伝わった葉ねぎは温暖な地を好んだことがもとで生産地が分かれ、流通の発達していなかった時代のためその地で消費されるようになったようです。そのねぎの住み分けに、今から30年ほど前に殴り込みをかけてきたのが博多万能ねぎです。当時大々的にテレビCMを流し、JALで博多から空輸すると、話題になって全国区に広がり、いつしかブランドねぎとなりました。その後、グルメブームなどとともに殿様ねぎとして一部で知られていた下仁田ねぎがスーパーに登場し、その後、全国各地のご当地ねぎ、新しい栽培方法のねぎなど、様々なねぎが登場しています。
ところで、皆さんが食べている部分は根か、茎か、それとも葉か、ご存知でしょうか?白ねぎはねぎの成長とともに土を寄せて畝を高くしていきます。白い部分を長く育ててありますが、ねぎの茎は実はしょぼしょぼと生えている根からせいぜい1cmぐらいまで。そこから上の白い部分は葉鞘部、緑色の部分は葉身部と呼び、どちらも葉となります。
ねぎの匂いの素は硫化アリルという成分で、この刺激的な匂いが鼻の中の粘液分泌を盛んにして他の匂いを感じにくくさせるために、肉や魚の匂い消しとして用いられるのです。また硫化アリルはビタミンB1の吸収を促進し、血行をよくして体温を高めるなどの働きがあり、昔から風邪の予防によいとされています。
最後に、よいねぎの選び方ですが、白ねぎであれば白い部分にツヤがあり、白い部分と緑の部分の境目がくっきりとしているもの。葉ねぎであれば、葉の緑が鮮やかでみずみずしいもの。下仁田ねぎなどは、土つきのものの方が長保ちします。保存する場合は、どのねぎも新聞紙にくるんで冷蔵庫の野菜室に入れるのがよいでしょう。冬なら冷蔵庫でなくとも涼しい場所ならOK。葉ねぎは変色しやすいのでできるだけ早めに使い切るか、残ったら使いやすく小口切りなどにして冷凍しておくと次に使うときに便利です。
色々なねぎを使って新しいレシピにチャレンジしてください。(※最近は、ねぎ科ねぎ属とする分類もある)