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見えないところで大活躍。料理に深みと余韻を与えるセロリ。コラム

vol.36

2014年3月28日

セロリの原産はヨーロッパから中近東辺りの涼しい高地の湿原といわれており、古代ローマやギリシャではもっぱら整腸剤、強壮剤などの薬や香料として用いられていたようで、食用になったのは17世紀に入ってから。日本には16世紀末に起こった文禄・慶長の役の際に、加藤清正が朝鮮半島から持ち帰ったという説があり、清正人参とも呼ばれています。しかしなぜか江戸期には使われず、日本人の食卓にセロリが登場するのは第二次世界大戦以後に、食事が洋風化するまで待たねばなりませんでした。

セロリには、ビタミンB1、B2、カルシウム、鉄分、マグネシウムなどのミネラルが含まれるので強壮、整腸、鎮静などの作用があります。食物繊維も多く含まれているので、便秘の解消やコレステロールを下げる働きも期待できます。そういった効能はわかるものの、特有の強い香りを敬遠する人も少なくありません。実はこの香りには、口内をさっぱりとさせる成分が含まれていて、生で食せば食欲増進、精神安定、頭痛にも効果があるといわれ、肝機能を高める成分も含んでいるそうです。二日酔いの朝など、生でバリバリ食べるとよさそうですね。

洋風料理のイメージから、イタリアンなどはさぞセロリが沢山出てくるのだろうと思い、イタリアンレストラン・カルボニエラデルトロのオーナーシェフ・仲川徹さんに聞いたところ「実は意外とセロリそのものを食べる料理は少ないんですよ。イタリアンでは、セロリは軽い脇役の扱いですね。ミネストローネ、バーニャカウダ、カポナータ、ゆでたイカと合わせたサラダなどが使用する料理です。また、根セロリという根が大きく太った品種を使ったスープもあります」との話が返ってきました。そう聞くと確かにどれも脇役のようですよね。仲川シェフにセロリの消費量は少ないのかと聞くと「表だって出てくることはあまりないのですが、実は結構沢山のメニューにセロリを使っています」と言います。例えば、イカやタコの類をゆでる時、セロリを匂い消しの香味野菜として使うそうで、肉を煮込む時にも、沢山のセロリをザクザク切って、肉と一緒に鍋に入れ、セロリの形がすっかり煮崩れてしまうまで煮込んでいくそうです。「出来上がりの皿にはセロリの強い香りも形もありませんが、味と香りに深みがあります。同じ料理をセロリ抜きで作ったものと比べると、その差は歴然ですなんですよ」。嫌われがちなあの強い匂いは、煮ることでまろやかになり、肉の臭みを消して全体に余韻のある香りとコクを与えると仲川さんは教えてくれました。さすがセロリの原産地に近いだけに、セロリの扱いに長けているようです。

「今はセロリも色々なものが出回っているので、家庭では種類によって使い分けるといいですよ。普通1~2本で売られている白く長いセロリは日本のセロリで、カポナータやピクルス、生食に向いています。香りは比較的穏やかで味が染み込みやすですね。対して、株状になっているアメリカンセロリは、全体が濃い緑色で味も香りも強く主張します。その主張をいかしてシチュー風の煮込みに使って、潰れてしまうぐらいまで煮込むといいですよ」と性質に合わせた使い分けのレクチャーしてくれました。料理人の話を聞いていると、サラダだけではもったいない、もっとセロリを活用したいと思ってしまいます。今日は、皆さんも新しいレシピにチャレンジしてみませんか?

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