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秋の食卓に欠かせないさんまは高級魚?それとも大衆魚?コラム

vol.43

2015年11月10日

 さんまといえば、秋を代表する食材のひとつであり、庶民に古くから親しまれてきた大衆魚の一種です。しかし、いつの頃からか初物のさんまは高級魚並の価格で販売されるようになり、その高値が毎年注目を集めています。これは環境問題でもよく取り上げられている海水温の上昇が原因なのだそうです。さんまは14〜15度の水温を好むのですが、お盆が過ぎて秋になってもなかなか水温が下がらないために、日本沿岸にさんまが来ないのが原因とされています。

 「昨年は納得のいく量が獲れましたが、今年はやや少ないですね」と話すのはさんま漁で有名な宮城県・気仙沼でさんまの加工食品製造業を営んでいるマルトヨ食品の清水浩司さん。さんまは海水温の低下とともに北海道から宮城沖に南下してきます。その頃にはさんま漁が最盛期を迎え、毎日何百トンものさんまが水揚げされるそうです。「今年もそうですが、海水温の関係で漁獲のピークがずれています。以前に比べると1ヵ月ほどピークはずれていますね」とのこと。安定してさんまが獲れるようになると、価格も落ち着くので食卓に登場する機会も増えて来るのではないでしょうか。

 清水さんによると、気仙沼は漁業関係者も多いことから、さんまはスーパーで買うものではなく、貰ったり配ったりすることの方が多いのだそうです。「さんまの季節になると、気仙沼から離れて暮らす家族や親戚にさんまを送ることもよくあります」とさんま漁が盛んな町ならではの文化を教えてくれました。地元では塩焼きで食べるのは勿論ですが、鮮度抜群のさんまが手に入るので、家庭で刺身にしてよく食べるのだそうです。しかも、一般的なしょうゆではなく酢味噌をつけてさんまの刺身を食すのだとか。また、さんまの身をすり潰してつみれにしたつみれ汁も食卓によく登場するそうです。

 気仙沼のように新鮮なさんまが手に入る地域以外では、その鮮度の見極めが大切です。一般的には、尾を持った時に一直線に立つ、頭から背中にかけて盛り上がっているもの、黒目の周辺に濁りがなく透明で澄んでいることなどが挙げられます。

 さんまは栄養価が高い魚としても知られています。青魚に含まれるDHAやEPAが健康に欠かせないことは有名です。脳の活性化やコレステロール低下に役立つDHA、血液をサラサラにして動脈硬化予防に有効なEPAは青魚のさんまに多く含まれています。また、良質なたんぱく質やビタミン類も多く含むのがさんまの特徴です。

 さんま(特に塩焼き)に欠かせない大根おろしは、栄養的にも理想の組み合わせなのをご存知でしょうか。さんまに含まれるビタミン類やミネラルは内臓に多く含まれていますが、内臓は苦みがあるので苦手な人も多いはず。しかし、大根おろしと合わせて食すことで内臓の苦みが緩和され、食べやすくなります。また、消化分解酵素が含まれる大根はさんまの栄養の消化・吸収の手助けもしてくれるのです。

 前述のマルトヨ食品では様々なさんまの加工食品を製造していますが、中でも人気なのが「さんまくん」。さんまを一尾丸ごと燻製にしたもので、こだわりの製造方法により骨まで柔らかく仕上げており、さんまを丸ごと楽しめるものです。清水さんによると「そのまま食べるのもいいですが、燻製にしているのでベーコンと同じようにパスタの具として使ったり、パンに載せてピザやブルスケッタにするのもオススメです」とのこと。今回のレシピッタでは、「さんまくん」同様にお酒にぴったりな一品が揃っています。塩焼き一辺倒になりがちな旬のさんまを使って、秋の食卓に新たな彩りを添えてみてはいかがでしょうか。

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