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春は昔ながらの郷土料理でお祝いコラム

vol.25

2012年4月17日

 地方のB級グルメがテレビなどでよく紹介されることもあって、最近は郷土料理が見直されてきたように思えます。そこで今回は、季節が春ということもあり、地方の祝い膳(お祝いの料理)を4品紹介することにしました。
 
 むつ市周辺で食べられているいかの寿司は、寿司とは言っていますが、シャリ(ご飯)を用いず、野菜をいかの胴に詰めて作ったもの。保存食として家庭で食べられていたようですが、今では淡いピンク色に仕上がることから祝いの席に出されることが多い一品です。片や、岩国寿司は純粋のお寿司。具材が多く、見た目に華やかなので、岩国周辺では祝いの席で供されることが多いとか。実際は、一度に5升の米を用いて作っていることもあって、大きな包丁で切る様は一種のパフォーマンスになっているほど。昔は岩国の各家庭には専用の切り粋があったらしいですね。
 焼きさばそうめんは、湖北(琵琶湖北部)に伝わる料理。農家へ嫁いだ娘のことを気遣って母親が繁忙期に焼きさばを届けたことに端を発しています。農家の繁忙期に当たる五月祭りの時には、その焼きさばとそうめんを炊き合わせて作っていたそうですが、今では客をもてなすハレの日の料理として親しまれています。本来ならさば一匹を焼いて作るのですが、今回は家庭で作りやすいように、さばの切り身を使いました。

 最期にかしわのすき焼きは、福岡県の宗像や古賀に伝わるもの。かしわとは、西日本で用いられる鶏肉の呼び名。元来は鶏肉を指した言葉ではなく、茶褐色(羽根)の鶏が、柏の葉の色に似ていることからそう呼ぶようになりました。戦後、ブロイラー(白い羽根の鶏)が出回るようになり、使われなくなりつつある呼称です。普通、鶏のすき焼きというと、食べやすいように薄めに切った鶏肉を使うのですが、これは農家ならではのもてなしを醸し出すためか、骨付きのブツ切り肉や内臓を入れて調理するのが特徴。上品なものではなく、田舎の料理で、あるものを入れて煮込んで作っていきます。割り下ではなく、砂糖、しょうゆ、酒で作っていく点が、いかにも西日本のすき焼きっぽいですね。

 このように調べていくと、地方ならではの祝いの料理が数多く存在することに気づきます。例えば、会津や郡山に伝わるこづゆは、会津塗りの椀で食べる薄味のお吸い物。干し貝柱でダシを摂り、里芋やまめふ、糸こんにゃくなどを入れて作ります。武家料理のごちそうとして広まり、祝いの席でのもてなしの一品になりました。また、鯨との関わりが深かった平戸(長崎)では、鯨のような寛大な人になるとのいわれから縁起物として鯨鍋や鯨の刺身、寿司などを祝いの席でふるまう風習も残っているそうです。
 春は旅立ち、一人立ちの季節。卒業式に、入学式、入社式と、人生の門出を祝すイベントが多い時季でもあります。そんな時の祝い膳として、地方の特色がある料理を作ってみるのもいいのでは?きっといつまでも想い出として残る祝いの席になると思いますよ。

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