単に塩を少なくするのではなく、それを補う工夫を加えるべきコラム
vol.38
2014年8月12日
■何かを足すのが減塩レシピのコツ
最近は健康を気にして食事を作る人が増えており、減塩レシピもニーズの多いアイテムです。ただ減塩と表記してしまうと、薄口をイメージしがちで、単に塩分量を減らすだけでいつもと同じように調理する人がいるようです。そうしたのでは、味が物足らないものになってしまい、美味しく食せません。なので減塩メニューは長続きしないのかもしれません。
味のポイントである塩をなくしたり、減らしたりするわけですから、やはり工夫を凝らす必要があります。今回紹介した「甘夏サラダ」はオリーブ油とこしょうのみで味付けしており、本来なら用いるべきドレッシングは使っていません。仮にドレッシングを作るとしたら、その時には酢と塩が必要となってくるわけですから、その分を何かで補わねば満足のいく味にはならないのです。甘夏みかんの実をほぐし、野菜とあえることで酢と塩がなくとも美味しくなるように仕上げました。また、「さっぱり夏野菜のだし浸し」では、だしをしっかり摂ることで、塩分が少なくても十分通用する味にしていますし、追いがつおを行うことで旨みと風味の良さをアップさせているのです。このように塩を用いなかったり、少なくするのであれば、何か別の物を加えることで満足のいく味に仕上げなければなりません。これが減塩レシピのコツなのです。
■味噌汁はだしをしっかり摂ったものを一日一杯だけ
よく日本人は塩分を摂りすぎていると指摘されます。一日の摂取量が男性9g、女性7.5gなのに対し、実際には男女とも11〜12g摂取しているのが現状です。和食は西洋料理に比べて油分が少ないためにいいように思いがちですが、実は塩分が多く、それを毎日食すことでどうしても塩分摂取量が多くなってしまいます。この要因となっているのが味噌汁と漬物。これらは毎食テーブルに登場するためについつい余計な塩分を摂ってしまいがちになります。塩分を減らすためには、味噌汁は毎食吸わず、一日一杯までと決める方がいいかもしれません。これとてだしをしっかり摂って作ることが肝要。その方が味噌の量が少なくてすみますし、ひいては塩分も控えめにできるのです。うどんやそばを食す時も汁を全て飲まず、カップラーメンもスープを残す。このようにして食事をすれば、塩分を摂取しすぎないのではないでしょうか。それに市販されている減塩醤油や減塩味噌、減塩梅干を使うのもいいでしょう。
その他に魚や肉などは焼き目をつけると香ばしさが加わり、薄味でも納得のいくものになりますし、献立の中に一品だけ味の強めのものを入れておき、あとはすべて薄味にする、そんな工夫をするのも一つの手でしょう。