フレッシュをそのまま味わうだけではもったいないコラム
vol.40
2014年10月7日
■柿やりんごも調理素材として使える
さあ、食欲の秋がやってきました。この時季は野菜や果物に収穫物が多く、食材選びも目移りしそうです。旬の野菜もいいですが、秋から美味しくなるフルーツを使って調理するのも面白いのではないでしょうか。秋からは柿に、巨峰、りんご、梨、すだち、金柑など色んなフルーツが出てきます。そこで今回は、フレッシュをそのまま食すのではなく、調理素材として用いてみました。
柿はそのまま食べてもいいのですが、調理素材として使うと、甘みが出て美味しくなります。今回の「柿とさつまいものクランブル」のようにデザートにする手もありますが、和食の食材にも適しているのでぜひ使用してみてください。特にかき揚げの具材に用いると、いつものかき揚げに甘みが加わり、より美味しく味わえます。それに酢の物の具材にも使用できますので、柿独特の甘さで味が引き立つような料理を色々と考えてみるのもいいでしょう。
一方、りんごに火を加えて調理すれば旨く感じるのは、アップルパイは証明済みですが、「りんごの豚チーズ巻き」のようにメインディッシュにするのも一案。牛肉とは合いにくくても豚肉とは好相性なので、他のメニューでも使ってみるのもいいのではないでしょうか。今回の料理では、バルサミコ酢と赤ワインが入ったブルーベリーソースが味のポイント。ブルーベリージャムを使用したので甘くはなっていますが、そこにバルサミコ酢と赤ワインが加わることで、単なる甘ったるいソースではなく、甘酸っぱい大人向けのソースに仕上がっています。
■秋の果物で、冬に向けてのパワーを養う
今回のレシピのようにレモンもクリームソースにその香を移すだけで十分調理素材に変身。このパスタは、南仏の定番ですが、まったりしたソースにレモンの酸味が加わり、ミスマッチな味になっています。調理の際は香りを出すために、皮の黄色い部分を千切りにして使用します。バターにレモン特有の香りを移すのが大事ですので、焦がさぬように慎重に調理しましょう。この時、使用するレモンは、国産のもので。外国産は、防腐剤やワックスが塗られているケースが多いので、この料理には適しません。レモンは一年中、スーパーなどで見かけるため、旬がわかりにくいのですが、国産のものは秋に出荷されるためにむしろ今が旬の食材。なので美味しく味わうためには、「レモンクリームパスタ」をこの時季にこそ作るのがいいのかもしれません。
野菜や肉、魚介類が当り前となっている天ぷらも実は果物を揚げると、甘くて美味しいものができあがります。その好例がバナナであり、今回のいちじくでもあるのです。いちじくは、小ぶりで熟していないものを選ぶこと。どうしても熟していると、崩れやすくなりますし、揚げているうちにドロドロになってしまいます。衣がサクッとしたら油から引きあげるように。いちじくの中心がまだ冷たいぐらいの方が美味しく味わえます。いちじくは、油に入れる時、そろっと行い、油ハネに注意を。必ず揚げたてを食してください。冷めると衣がいちじくの水分を吸ってしんなりしてしまい、美味しく感じなくなります。
秋は夏の間に落ちた食欲を取り戻し、身体に栄養をつけていく時期。冷たいものを摂りすぎて弱った胃や、強い日射しで弱った肌を食材が持つ栄養で補うのがいいでしょう。今回、使用した果物には、ビタミンCやクエン酸、カリウム、食物繊維などが多く含まれています。レモンに含まれるクエン酸は、疲労回復にいいですし、カリウムは血圧を下げる役割を果たします。食物繊維は、腸の働きをよくする作用がありますし、果糖やブドウ糖にはエネルギー源にもなります。但し、フルーツなので食べすぎには注意を。どうしても糖が多いのでカロリーがオーバーとなり、太りやすくなってしまうからです。そんな点を考慮しながら時々、フルーツを使って調理してみてください。