自家製調味料を用いれば、より好みの味に仕上がる。コラム
vol.50
2016年3月1日
■怪しい味?いえいえ実は複雑な味のソースです
最近は家庭で自分好みの調味料を作り、それを用いて調理する人が増えて来ました。その需要を察知してか、書店へ行くと、自家製料理を特集した雑誌や書籍が並んでいます。そこで「レシピッタ」でも自家製調味料を特集し、それを用いて作る代表料理を掲載することにしました。
まず初めに挙げた怪味ソースは、昨年暮れあたりから話題になって来たもので、中国・四川省発祥の調味料。怪味とは、一見奇妙なネーミングのように思えますが、実は中国では複雑な味を指してそう表現します。甘い・辛い・酸っぱい・しょっぱい・痺れるの要素を含むソースで、舌にピリッと来る刺激が特徴。マイルドな芝麻醤に黒酢の酸味、花椒のピリッとした味が加わり、まさに複雑な風味になっています。この辛味が気になるという人は、マヨネーズを加えると、マイルドな味に仕上がりますのでアレンジして作ってください。
そもそもこの怪味ソースが日本で話題になったのは、某唐揚げ専門店がディップソースに用いたことから。それがテレビの情報番組で取りあげられて一躍話題になりました。一時は流行ゆえに市販品が売り切れ状態になっていましたが、考えると意外に簡単に作ることができるもの。そこで市販品の売切れを横目に自家製調味料としてコレを作る人が増えたようです。
今回は、この怪味ソースをよだれ鶏に用いています。よだれ鶏とは、よだれが出るほど旨いとされる四川の定番料理。柔らかくゆでた鶏肉に香辛料が利いたピリ辛だれをかけて食すのですが、このたれを今回は怪味ソースで代用してみました。一応、怪味ソースは、作りやすい分量のレシピを記しておきましたが、余れば、しゃぶしゃぶの漬けだれにしてもいいし、餃子や厚揚げを焼いたものにつけてもいいでしょう。勿論、唐揚げや蒸し鶏のソースにも適しています。
一方、塩だしトマトは、白だしトマトと表現してもいいもので、最近は塩レモンや塩トマトが流行しているので、今回はあえて?塩だし”とネーミングしました。塩だしトマトは、かつお・昆布にトマトが加わったもの。三つの旨み成分が詰まった万能調味料ですので、焼飯の味付けに使ったり、溶き卵に混ぜて玉子焼きを作ったりと、色んな料理に用いることができます。今回はこのオリジナル調味料に酢と砂糖を加えることで、これからの季節にぴったりの爽やかな小あじの南蛮漬けを作っています。トマトが入ることで酢の酸味がまろやかになってたっぷり食べられますよ。
■スペインやインドの味もオリジナルに
アイオリソースは、スペインではおなじみの味。同地では、ゆでたじゃがいもとあえたアイオリポテトが有名です。今回はこのソースを自家製にすることで、手作り特有の上品な酸味や香りが楽しめるようにしています。作るポイントは、にんにくをレンジにかけること。そうすることでにんにくの辛みがマイルドになります。味にもっとパンチを利かせたい向きには、レンジで加熱せず、そのまま使いましょう。オイルを少しずつ加えてしっかり混ぜることが大事。もったりするまで乳化させてください。
エッグベネディクトは、カフェで人気の一品で、半分に切ったイングリッシュマフィンに厚切りベーコンやハムを載せ、その上にポーチドエッグを載せたものです。一般的にはオランデーズソースがかかっていますが、それを今回はアイオリソースにしています。オランデーズソースと使う材料が似ているため、きっと合うと思います。このアイオリソースは、冷蔵庫で3〜4日保つので、この料理の他に色んなものに使用してみてもいいのではないでしょうか。
最後にガラムマサラは、カレーづくりの仕上げに加えると風味とコクがアップする調味料です。元来、ガラムとは辛いを、マサラは調合スパイスを意味する言葉で、日本でも数々の市販品が売られています。市販のものでもいいのですが、ここは挽きたてを楽しむべく、家庭でオリジナルの味づくりにチャレンジしてみましょう。ガラムマサラは、唐揚げの際、衣に混ぜ込んだり、仕上げに振りかけたりできますし、肉の下味やスープ・煮込み料理の風味づけにも使えます。このように様々なものに合い、少量でスパイシーな味になるのが利点。作ったものは、香りが飛ばないように密封容器で保存しておいてください。
自家製ガラムマサラで作ったバターチキンカレーは、簡単なのに本格的な味に仕上がります。ヨーグルトを用いることで、クリーミーさを出し、トマトや野菜の酸味・旨みを加えています。それにしっかり炒めた玉ねぎの甘みも加わってより美味しくなり、バター風味がいきたクリーミーでマイルドなカレーができあがりました。いつものカレーとどう違うかは自身の舌で確認を。
塩麹に始まり、食べるラー油、にんにくしょうゆ、ポンズジュレ、塩レモン、塩トマトと次々に新しい調味料が紹介され、話題になる傾向にあります。そんな市販品を横目で見ながら自身が作ったオリジナルの味に舌鼓を打つのも面白いのではないでしょうか。味付けの基礎を成す調味料を自家製にすることで、より好みの味の料理ができると思います。