地鶏の定義はJAS法で決まっていたコラム
vol.12
2009年10月7日
今、スーパーの鶏肉売り場に行くと、二つの鶏肉を目にすることができます。1つは薄いピンク色の見慣れた鶏肉。もう1つは濃いピンクから薄い赤色を帯びた肉色の地鶏肉。この二つはどう違うのでしょうか?まず初めに見慣れた薄いピンク色の鶏肉から見てみましょう。
薄いピンク色の鶏肉はブロイラーと呼ばれる、肉を取るために飼育されている鶏の肉です。ブロイラーというのは英語のブロイル(broil)で、和訳すると「あぶり焼き」に由来したもの。これはクリスマスなどで目にする、鶏の丸焼きなどに適したサイズであるために、こうよばれるようにりました。このブロイラーにも細かく品種はあるのですが、おおむね似た肉質です。ブロイラーは、卵からかえってから約2ヵ月半(8〜12週)以内の若鶏のこと。イギリスの鶏をアメリカで品種改良して作られ、フライドチキンの人気が高まるとともに、生産量が増えました。そして戦後、ブロイラーがアメリカから日本にもたらされたのです。
もう1つの、濃いピンクの鶏肉は地鶏と呼ばれています。明治以前からわが国にいた在来種の血統が50%以上含まれる鶏を地鶏と称します。また、飼育期間が80日以上で、生まれてから28日目以降は平飼い(鶏舎、屋外で地面を自由に運動できる状態で飼う)にし、1m2当たり10羽以下で飼育しなければならないという、JAS法(日本農林水産規格法)による規格があります。地面で放し飼いにしているから活発に動くため、肉は歯応えがあり、滋味が深いとされています。現在、地方ごとに、ご当地地鶏が作られ、2007年現在で約60種もあります。また、ご当地地鶏の元となった、明治時代までに日本国内で生育していた鶏、もしくは導入されて定着した品種は約30種もあります。
現在、日本3大地鶏と呼ばれているのは、秋田県の比内地鶏、鹿児島県を中心とする九州南部の薩摩地鶏、愛知県の名古屋コーチンですが、実は平成16年から、徳島県の阿波尾鶏が地鶏の出荷数で全国トップになっているそうです。
それでは、鶏肉にはどういった部位があるのでしょうか。
●手羽肉
鶏の翼の部分で、胸肉に続く「手羽元」と「手羽先」からなっています。「手羽先」は、翼の第1関節で切った先の部分で、さらに「手羽中」と先端の手指の部分に分けられます。 手羽元は、比較的肉が多く、もも肉に比べて脂肪が少なくて軟らかなので、から揚げに多く使われています。手羽中は、骨に付着している肉を外して裏返しにしたものをチューリップと呼んでから揚げなどによく使用します。手羽先は、手羽元に比べてゼラチン質や脂肪が多く旨味があるので、煮込んだり揚げ物に向いています。
●もも肉
脚からももの付け根にかけての部分で、鶏が運動するときによく使われる筋肉が多く、肉の色は濃く、筋の多い部位です。胸肉に比べてやや硬く、筋肉と筋肉の間に脂肪があるため、味もコクがあります。 スーパーでは余分な筋を取り除いた骨なしもも肉と、骨が付いたままの骨付きもも肉を売っています。骨付きは煮込みやあぶり焼き、骨なしは唐揚げ、煮物と、何にでも使いやすい部位です。
●胸肉
鶏の胸にある肉で、スーパーでは骨を取り除いて整えたものパック詰めで売られています。肉色が薄く、脂肪が少ないので、欧米では「ホワイトミート」と呼び好まれてるほど。やわらかいので蒸し物に向いています。
●ささみ
鶏の胸肉の近くにある部位で、笹の葉に形が似ているのでささみと呼ばれています。鶏肉の中ではもっともやわらかく、味は淡白。新鮮な物は刺身として食べたりもします。
●内臓、その他
レバー(肝臓)、ハツ(心臓)、砂ギモ(筋胃)、カワ(皮)、アシ(足)、などがあり、焼き鳥、煮付などに使います。
ブロイラーと地鶏の味の違いや地鶏の産地の違いから生じる味の違い、また各部位に相応しい料理方法などを考えて、それぞれに相応しい鶏料理を選ぶのもまた楽しいのではないでしょうか。