鎌倉時代には今のうどんの原型ができていたコラム
vol.20
2011年2月10日
うどんは、小麦粉が主な原料で、他に小麦粉からできている麺には冷麦、素麺があります。小麦粉を使っているので最近のものかと言うとさにあらず。そのルーツは奈良時代に遡ります。
奈良時代(8世紀頃)に、遣唐使が唐(今の中国)からもたらした小麦粉を使って作られた菓餅14種類の中に、「索餅(さくべい、さくへい)」、和名を「麦縄」というものがありました。平安中期の「延喜式」によると、「索餅」は小麦粉と米粉を混ぜて臼に入れ、塩湯で練り合わしたものであると書かれており、今の麺とは似て非なるもののようです。その後、鎌倉時代になると、禅僧によって臼で挽いた粒子の細かい小麦粉だけで麺を作る、新たな製麺方法が中国からもたらされました。中でも麺に植物油を塗って伸ばす画期的な製麺方法で作られたものは「索麺」と呼ばれるようになりました。これは今の素麺の原型といわれています。同じ時期に小麦粉を練った物を麺棒で伸ばして折りたたみ、包丁で切って作る、中国の切り麺と同じ製法の「切り麦」が登場し、冷麦、うどんの原型となりました。うどんと呼ばれるようになったのは江戸時代に入ってから。切り麦を暖かくして食べる「温麦」、冷たくして食べる「冷麦」の両方を指してうどんと呼ぶようになったのです。
よくうどんは中国の「?飩」(コントン)、または「?飩」(ウントン、コントン)が元で、同じ読み方の「温飩」(ウントン)という字が当てられるようになって「饂飩」(ウドン)に変化したといわれます。ところが、もともとの「?飩」(コントン)や「?飩」(ウントン、コントン)はワンタンの意味で、小麦粉の皮の中にアンを詰めた物を指すので、うどんの語源とは違うのではと、最近言われるようになっています。
うどんを食べる時は、市販のゆで麺ですか?それとも乾麺...?近頃は、よく冷凍うどんの方が下手なうどん屋よりも美味しいなどと言われるのを聞いたことがないでしょうか?実際に食べると、確かに冷凍うどんは乾麺やゆで麺よりもコシがあり、その喉越しとともに、うどんの美味しさはなかなかと言えるのではないでしょうか。いったいどうして冷凍うどんはそんなに美味しいのでしょう。
どうやら作り方の違いが大きな差を生んでいるようです。冷凍食品のうどんを作る工程は、名人と呼ばれる人の作り方をできるだけ真似るようにしています。
次にできた麺の茹で揚げ時間です。一般家庭でうどんをゆでると、麺を鍋に入れた瞬間にどうしても鍋の温度が一気に下ってしまいます。ところが工場では、機械で常に鍋の中が一定の温度になるように、コントロールされています。たっぷりのお湯で短時間でゆであげることによって独特のモチモチとしたコシが生まれるのです。また、一部の冷凍うどんには、キャッサバというタピオカの原料になるでんぷんの粉末が入っているものもあります。そして、急速冷凍することで麺の中の水分が失われることもなく、タピオカでんぷん入りのプリプリしたうどんの歯応えが美味しい状態をキープしてくれます。
よくインスタントのうどんは関東と関西、東日本と西日本でだしの色と香りが違うと言われます。お店で食すうどんもしかり。では、その境目がどこにあるかご存知でしょうか。その味の境界はどうやら関が原のあたりにあるとのこと。うどんのだしにとっても天下分け目は、やはり関が原なのですね。
今日は新しいうどんレシピに挑戦して、うどんだしの味が東西の攻防を繰り広げている関が原あたりを想像するのも楽しいかもしれません。