サントリー レシピッタ -あなたにぴったり、お酒に合うかんたんレシピ-

暑い季節に体調を整える成分を蓄えた、苦みばしった(!?)野菜コラム

vol.28

2012年8月30日

 ウリ科のゴーヤは、原産地がインドあたりの熱帯アジアといわれていますが、はっきりしたことは分かっておらず、またいつ頃から食用とされていたのかも不明です。熱帯アジアから中国へと14世紀頃に伝わり、日本へは中国経由で慶長年間(安土桃山期〜江戸初期)に渡来したといわれています。伝わった当時は、苦味が敬遠されて観賞用とされていましたが、完熟果実が自然に弾けた時の内側にできている、種の周りにある赤い甘くなった部分を食べることもあったといわれています。その一方で、「昭和沖縄園芸発達史」によると、沖縄(当時の琉球国)では1424年頃には、ゴーヤ(ゴーヤー)と呼んで、栽培して成熟な青い果実を野菜として食べていたそうです。本州ではもともとの味に由来し、中国での呼び名でもある「苦瓜」を「にがうり」と読んでいました。また、学術上では、その実が茘枝(れいし=ライチ)に似たイボのある外観で、完熟すると茘枝のように甘くなることから「ツルレイシ(蔓茘枝)」と呼んでいました。けれど、本州ではめったに目にすることのない作物でもありました。
 
 1980年代まで、沖縄産のゴーヤにはウリミバエという本州にはいないウリ科の大害虫が付いている可能性があったので、島外への持ち出しが禁止されていました。もし本州でウリミバエが発生した場合に考えられる、きゅうりなどのウリ科植物への被害の甚大さから固く禁じられていたのです。そして1990年代、沖縄諸島でウリミバエの根絶に成功し、沖縄から本州へのゴーヤの持込みが可能になりました。加えて2001年にNHKで放映されていた朝の連続テレビドラマの主人公が沖縄出身と言う設定だったため、作品中ゴーヤがしばしば登場し、苦瓜よりゴーヤ(ゴーヤー)の呼び名を使う方が増えたといわれています。ドラマの沖縄料理ブームにより、一気に全国区となったゴーヤですが、その苦味から子供や初めて口にした人には食べにくいと敬遠されていました。
 
 ゴーヤは、ビタミン類やミネラル類を満遍なく含んでおり、特にビタミンCはレモンの1.5倍もあるそうです。そして細胞分裂に必要な葉酸も豊富に含まれています。ビタミンC、葉酸はどちらも熱に弱い成分ですが、ゴーヤに含まれているものは調理の熱によって壊れることがほとんどないので、暑さの厳しい季節に身体の回復に一役買う成分として摂ることが可能です。また、苦味成分には、血糖値や血圧を下げる作用、食欲を増進する働きや整腸作用などもあるのです。こうした栄養面の利点から、ゴーヤを食す人が徐々に増えました。東北大震災以降、節電がかまびすしく言われクーラーなしの暑い夏を涼しく過すための智恵として緑のカーテンを設け、そこでできたゴーヤを消費するために、様々なレシピを求める人も増加中だとか。また、日本各地でも、その栄養価の高さから、夏場の栄養源としてのゴーヤの生産が伸びてきています。
 
 ゴーヤを自分で育てたことがあれば、売られているゴーヤは、未成熟の青い実だということがわかると思います。ゴーヤは、青い実が熟して黄色くなり、あっという間に尻の方から花が開くように裂けてまっ赤な果肉をまとった種が顔を見せます。青いゴーヤも、収穫後に常温に置いておくと熟して黄色くなり、苦味は減っていくのですが、それと同時に特有の歯応えも栄養分もなくなっていきます。ゴーヤを購入したら冷蔵庫に入れ、なるべく早めに食しましょう。店頭でゴーヤを選ぶときは、表面がツヤツヤしていてみずみずしく、スレ傷の少ないものを選びましょう。もし余ったなら、種とワタを取って水気を拭き取り、新聞紙等で包んで冷蔵庫に保存するといいでしょう。

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