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日本の東と西で、かぼちゃの味の好みに差があった!?コラム

vol.33

2013年10月3日

16世紀に日本に渡ってきたかぼちゃは、東洋種として日本の食生活のどっしりと根を下ろし、その原産が中南米と聞くと驚く人も多いのではないでしょうか。現在スーパーでよく見られるのは西洋種で、原産はやはり中南米ですが、これは明治頃に輸入されたものを元にしています。その西洋種に比べ、東洋種は肉質が硬く、実の色もあまり濃い黄色ではありません。でも煮崩れしにくいために、料亭などで活用されることが多いようです。一方、西洋種は、肉質が軟らかく実の色も鮮やかなオレンジ色で甘いために消費者に好まれ、市場に出回っているかぼちゃはほとんど西洋種になっているといってもいいかもしれません。最近は、スーパーでも手の平に乗るような小ぶりのかぼちゃや、白っぽい色のもの、黒いもの、細長いものくびれのあるものなど様々なかぼちゃを目にする機会が増えました。これらは、新しく改良されたものやヘポかぼちゃという種類もあるのですが、もともとその地で栽培されていた東洋種ということも多いらしいのです。

では、東洋種と西洋種ではどちらが美味しいのでしょうか?野菜の育種のかたわら、小学校で食育活動も行っている神田育種農場の神田稔さんは「子供は正直ですから、味だけで西洋種のかぼちゃを選びますよ。大人はそのかぼちゃの形の面白さ、歴史、採れた土地などの観念も味のうちになりますから、必ずしも西洋種だけを好むわけではないのです」と話します。予備知識もない子供が迷わず選ぶことから考えても、単純に味を比べると、軍配はどうやら西洋種の方にあがるかもしれません。

 そんな西洋かぼちゃも、実は東日本と西日本で好みに差があるのをご存知でしょうか。東日本で好まれるのはホクホクとした肉質で水分少なめの味平(あじへい)などの品種。片や関西〜九州の西日本では肉質がややねっとりとしたえびすなどの品種の方が好まれています。ただ、切って売られているものがどちらのかぼちゃかは、蒸して食べてみないとプロの神田さんにも分からないそうです。それを確認したいならむしろ売り場の人に聞いた方がいいかもしれません。では、どんなかぼちゃが美味しいのか?と聞いたところ「一番美味しいのは、畑で完熟させたかぼちゃですよ」と神田さんは即答します。「ただ、完熟させたかぼちゃは、ちょっと早めに採ったものよりも日持ちがしないので、どうしても近郊栽培になります。近郊農家の畑は大きさが限られているので収穫量が少ないのです。保存性もよくないので流通業界も扱いたがらず、出回る量が非常に少ないですね。道の駅や産直販売などで完熟と書かれたかぼちゃを見つけたら、ぜひとも試してみてください。きっとその味に驚くと思いますよ」。

 日本でありふれた食材のかぼちゃは、海外ではあまり食べられていないようです。スープやお菓子にしたりするのですが、かぼちゃ自身の甘みが薄く、あっさりしています。そんな国々に、今日本のかぼちゃの種が輸出され始め、あまりの甘さに「スナックみたいに食べられる!」と好評なのだそう。遠くない将来、日本で改良されたかぼちゃが、世界中で栽培されているのかもしれません。

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