ソーセージとベーコンコラム
vol.38
2014年8月1日
ソーセージとベーコンといえば、パンのお供、朝ごはんの定番といった感があります。実際、スーパーでよく目にするパックにも朝ごはんのイメージ写真が使っているのが多いようです。いつでも気軽に手に入るのに、違った使い方をと考えると、意外と思いつかないもの。では、そもそもソーセージとベーコンってどうやって作られているのでしょう。そして、ハムとはどう違うのでしょうか?
◆ソーセージ・ベーコンの製法
神戸と芦屋でハムやソーセージ、ベーコンを本場ドイツの製法で製造・販売している「メッツゲライ クスダ」のオーナー楠田裕彦さんは、「基本のハムは、豚モモの塊肉を塩漬けにして燻製、ボイルしたものです。ベーコンは同じ豚肉でもバラを使い、塩漬けのあと燻製にします。ソーセージは豚肉をミンチにして、スパイスなどと練り合わせてから腸に詰めたり、腸の代わりになるものに詰めたりして、そのまま、燻製などにします」と話しています。「勿論、これは基本の作り方で、ちょっとした塩漬け時間の違い、燻製時間や方法などの違いで、様々なハムやベーコン、ソーセージがあります」とのこと。そして屋台などで目にする串に刺して焼いているフランクフルトは、ソーセージの一種になります。
「スーパーなどで売られている手頃な価格のものは、うちの作り方とはちょっと違うんです。肉の脂が嫌われることが多いので、ベーコンなどはあらかじめ肉から脂分を取り除いてあるようですよ。だからフライパンでじっくり焼いても、脂がたくさんは出ないし、カリッとした焼き上がりになりにくいです」と楠田さんが教えてくれました。
◆旨みを引き出す調理法!
ソーセージやベーコンの美味しさを引き出す方法を楠田さんに聞いてみると、「ソーセージは焼いたりボイルして食べるのがいいですね。よくテレビCMで、噛み切った瞬間にパキッという音のするものがありますが、あれはボイルしたものです。グラグラと沸き立ったお湯にソーセージを投入したら、火を止めてください。大体80〜90℃で5〜6分、触ってパンパンに感じるまで膨張したら出来上がりです。おしゃれな鍋でしたら、そのまま食卓に出して各々が取り分ければ、アツアツを食すことができます」。ソーセージを焼いた時に、皮が破裂して、脂が滴ってジュゥジュゥいっているのは食欲をそそりますが、楠田さんに言わせれば、実はそれも美味しいところを味わっていないのだとか。「流れ出しているのはソーセージの旨みなので勿体ないです。それを逃さないように、皮を破かずに弱火で15分くらいかけて焼くと美味しいですよ。焼いている間に、他のものを準備して、たまに裏返してやればいいんです」とのこと。それでは、「ベーコンはどうすればいいのでしょう」との質問に「ベーコンを炒めて出る脂は、捨ててしまうことが多いのですが、私はベーコンエッグをした時など、ベーコンから出た脂を上からかけて食べます。バターソースのようで美味しいんですよ」と、ベーコンの脂の有効活用を説いてくれました。「ベーコンは燻製してあるので、香りや旨味、コクがあります。よく『ベーコンは西洋の鰹節』といわれるんですよ。だから、料理のコク出しに使えます。例えば、普通はベーコンを入れないラタトゥイユに加えると、ぐっと味に深みが出ます。また、少し残っていたらみじん切りにしてハンバーグに加えてみてください。食べる時にナイフを入れると、芳醇な香りがワァッと広がりますよ」。この楠田さんの話を参考に、ソーセージやベーコンをうまく調理してみてはどうでしょう。
◆おいしいお肉は美味しいベーコン・ソーセージになる?
美味しいベーコンやソーセージを作るためには、やはり厳選された素材が必要です。ところが厳選された豚肉といえども、普通に料理して食べて美味しいかというと必ずしもそうではないらしいのです。「そのまま食べて美味しくないなと思う豚肉でも、塩漬けして熟成されていくうちに、驚くほど旨みが出てくるものがあるのです。じっくりと時間をかけて熟成させると、肉の中のタンパク質が、旨味の元であるアミノ酸へと分解されて変わっていくんです。私も時々驚くほどですよ」と楠田さん。プロをもうならせる、ソーセージやベーコンの奥はまだまだ深いようです。
◆使い切れないときの保存法
ソーセージやベーコンを、買ってすぐに使い切れそうにない時はどうしたらいいでしょう。楠田さんの話では「まずは清潔な箸やトングで取り出すようにしてください。そして空気が入らないようにラップなどでピッタリと密閉して、冷蔵庫のチルド室などで保存を。油脂を含むソーセージやベーコンは空気が大敵。ラップでしっかりと空気を遮断することが何よりも大切です。ソーセージやベーコンが保存食だったのは、残念ながら昔のことです。その頃はひと冬越せるように、もっと塩分が高く、燻製もきつくしていました。今は冷蔵庫も、買える店も普及していますので、保存性は低くなってしまっているんですよ」。どうやら保存食だと過信して、冷蔵庫の中に適当に放置しておくのはよくないようです。
今夜はぜひ、今まで身近すぎたソーセージやベーコンの味わい方や、新しいレシピにチャレンジしてみてください。