見慣れた魚“さば”の意外な実態は?!コラム
vol.40
2014年11月17日
さばってどんな魚?と問われれば、青背の魚でちょっと臭みがあって、一年中いつでもスーパーの魚売り場に並んでいる、ものという声が聞こえて来そうです。確かに、さばは青背の魚なので匂いは白身の魚よりは強いですが、白身の魚だと思われているサワラは、実はさば科の魚なんです。さば科には他に、カツオやマグロも含まれているので、さばと高級魚の意外な関係を考えると、確かにその身の旨みには、マグロやカツオに通じるものがあるような気がしませんか。
今までさばの美味しさをきちんとわかっていなかったのだとしたら、私達はさてどんなさばを選べばいいのかと疑問が頭をもたげてしまいます。大阪市内にとろさば料理専門店を二店舗展開する、サバ博士の右田高有佑(みぎたこうすけ)さんによると「さばは、身体の大きさが大きいほど臭みが少ないですね。だからさばを買う時は、頭付きで30p以上、500g以上の物を選んでください」とのこと。頭付きで30pのさばは、かなりの大物です。「季節にもよりますが、大きなさばは大体脂が乗っているので、嫌な臭いを和らげてくれるのです。ですから脂の乗りの少ない小ぶりなものはどうしても匂いを強く感じてしまいます」と右田さんは話します。さばの鮮度が、匂いに大きく関わっていると思われていますが、右田さんの話では「案外新しくてもクセの強い個体はいるんですよ。ただ、やはり新しいものに越したことはないですね。こればかりは運でしょうか」と教えてくれました。さばといえばよく“さばの生き腐れ”などと言われ、足が早く傷んでないように見えても食中毒を起こすと言われます。これは脂の乗ったさばが傷みやすいから。ただそれだけではなく、水揚げされると、身体の中にアレルギーを引き起こす物質ヒスタミンが生成されてくるからだそうです。今は釣り上げられるとすぐに氷水で冷やされ、ヒスタミンの生成と脂の分解を抑えます。しかし昔はそんな設備もなく、見た目も匂いも傷んでいないのに、ヒスタミンができているために食べた人がアレルギー症状を起こしてしまい、傷んでいたと思って生き腐れと言われていたようです。「ところが、さばを酢で締めるとヒスタミンの生成を防いでくれるので、昔の人はさばを酢締めにて食べていたんです」と右田さんは話しています。
今のさばは鮮度がいいので、刺身でも食べられそうなものですが、右田さんによると「さばは、鮮度がよくても刺身で食べない方がいいでしょうね。さばは釣り上げると内臓にいるアニサキスという寄生虫が身に移動してしまうことがあります。さばは水揚げされるとすぐに内臓と血を抜くのですが、それでも100%大丈夫とは言えないので、生食用は-(マイナス)25℃以下で48時間以上置いてアニサキスを死滅させます。しかしこの温度は家庭の冷凍庫ではできないので、生を食べたいのであれば家庭ではできるだけ冷凍の物を買って酢締めにした方がいいのであう。ただ、生食用にあらかじめ冷凍管理して売っているものもあります。生が良ければ、そういったものを選ぶのもいいですね」とのこと。なるほど、冷凍のさばにも理由があるようです。生であれば切り身ではなく、頭付きを一本買って、3枚に卸してもらうのが一番鮮度がいいのだとか。半分は一口大に四角く切ってねぎとともに串に刺してねぎ串焼きにして、残りの半身は、天ぷら粉を炭酸水で溶かしたものをつけてフリッターのように揚げると、イギリスのフィッシュ&チップスのようなオシャレな揚げ物になるのです。こんな風に調理方法や味を変えれば、一匹のさばもすぐに食べ切ることができます。
「ゴマサバは6〜8月が旬で、マサバは10〜1月が旬です。また、ノルウェー産なら年中脂の乗ったものが手に入ります。さばは、肌にいいオメガ3や、脳の血流を促す血液サラサラ成分のEPA、DHAを豊富に含んでいるので、女性や老人、子供には特にオススメします」とは右田さんの弁。レシピッタの今回のレシピで沢山さばを食べて、いつまでも若々しく、柔軟な頭で過ごしましょう。