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夏野菜の定番・なすを美味しく食べるコツとはコラム

vol.53

2017年7月14日

なすの原産地はインドで、日本では1000年以上前から栽培されており、「一冨士二鷹三茄子」と初夢の縁起物に例えられたり、いくつかのことわざに使われていたりと、日本人にはなじみ深い野菜のひとつです。

なすの品種は世界中で多くの種類が栽培されており、日本でも地方によって特色のあるなすが栽培されています。例えば、長さが約30cmもある「長なす」は九州を中心に栽培されているもので、果肉が柔らかいのが特徴。「米なす」はアメリカ種を改良したもので、ヘタが緑色をしており、揚げる・炒めるといった加熱調理に向いています。大阪・泉州地方で栽培されている「水なす」はアクが少なく水分を多く含んだ柔らかい果肉が特徴で、生でも食べられるなすとして全国的に有名です。なすは品種によって様々な特徴があるので、調理別に使い分けるのもいいかもしれません。

なすの成分は90%以上が水分といわれているので、新鮮なうちに食べるのがいいでしょう。皮の色が濃く、ハリがあり、傷などがないものが鮮度のいい証しで、ヘタの切り口が瑞々しく、トゲが鋭いものを選ぶといいそうです。鮮度が落ちると、果肉の中にある種が変色するので、そうなったものはできるだけ早く食べてしまいましょう。

焼きなすや田楽など日本料理には欠かせないなすですが、中華料理でもなすはよく使います。神戸にある中華料理店「紅宝石」の李順華さんは「なすはよく使う野菜のひとつですが、中国で食べられているなすと日本のものとは品種が異なります」と話します。「紅宝石」は広東料理を中心に提供する人気店で、有名料理人も一目を置く存在として知られています。家庭でなすの炒め物などを作る場合、どうしても水っぽくなってしまうことがよくあるのではないでしょうか。李さんによれば、なすの下準備をきちんと行えば水っぽくならずに仕上げることができるそうです。「なすに小麦粉を薄くまぶします。それを高温の油で一気に調理します。そうすることでなすの周囲がカリッとなり、コーティングされたような状態になります。また、なすの水分が適度に抜けるので煮汁が入りやすくなり、味がしっかりなじむようになるんです。なすの調理は、油の温度とタイミングが最も重要です」とアドバイスしてくれました。

油と相性のいいなすは、中華料理でも揚げ物や炒め物にすることが多いそうですが、なす自身の水分をいかした蒸し料理も定番だと李さんは言います。「なすを一口大に切り、香味野菜や調味料といっしょに蒸します。蒸しながらじっくりと味を染み込ませていくのですが、なすに含まれる水分によってジューシーに仕上がります」とのこと。

6〜9月頃にかけてが旬のなすは、特筆すべき栄養素がほとんどありません。90%以上が水分な上に、ビタミンやミネラルの含有量も低い野菜です。しかし最近では、紫色をした皮に含まれるポリフェノールの一種でナスニンという成分が注目されており、これはアントシアニン系の色素でブルーベリーや黒豆などに含まれている成分の一種なのです。アントシアニンは、活性酸素の働きを抑制する作用があり、動脈硬化や高血圧の予防にも効果的といわれています。なすには身体を冷やす作用もあるので、夏には欠かせない野菜のひとつです。焼きなすや麻婆なすといった定番料理に偏りがちななすですが、色んな調理法でなすを食してみるのもいいかもしれません。

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