サントリー レシピッタ -あなたにぴったり、お酒に合うかんたんレシピ-

身体にいい成分もタップリ!日本人は世界で最もいかが好き!?コラム

vol.29

2012年10月15日

 いかとたこ、それぞれの足の本数は知っていますよね。当然ながら、たこが8本、いかが10本。いかとたこは親戚に当たり、いかはその足の本数から十腕目という種類に分類されます。いかは食用のものから非食用のものまで非常に種類が多く、日本近海だけでも100種類以上が生息しています。その分布は亜熱帯から寒帯までと幅広く、浅い海から深海まで世界中の海におり、体長2p〜20mまでとサイズもバラエティに富んでいます。
 この中で食用とされている ものの80%がスルメイカで、日本全国の沿岸に分布しています。スルメイカはヤリイカに比べると、やや大型で身が厚く、コクのある甘みを有しています。旬は夏、冬の両方の説がありますが、実のところはっきりとしたことは分かりません。というのも、いかは筋肉に脂肪を蓄積しないので、脂肪の増減による旬を計りにくいのです。そのお陰で、一年を通じてあまり大きな味の差が生じないようです。

 ケンサキイカは「烏賊の王様」と呼ばれる最高級品で、次いでヤリイカ、スルメイカとランク付けされています。その味も、ヤリイカ、スルメイカがねっとりとした歯応えなのに対して、ケンサキイカはコリコリとした独特の歯応えがあります。他にも、富山湾の名産のホタルイカは発光器を備えた小さないかで、シーズンの夜は海面を群遊し、漁師の網に触れて発光する様は春の風物詩として国の特別天然記念物に指定されています。さらに、亀のような甲羅を体内に持つコウイカや、分厚い身をもつモンゴウイカ、冷凍でロールイカとして売られているヨーロッパコウイカなどが有名な種類です。

 いかは昔からよく消化が悪いなどと言われるのですが、実は魚の消化時間と大差はないといわれています。いかの旨みの主成分は、アミノ酸から作られるタウリンとベタインでタウリンは栄養ドリンクやサプリメントなども発売されていますね。疲労回復、血圧の調整、血中コレステロールの減少、心臓の強化、貧血の予防、肝臓の解毒作用をサポートしたり、不整脈の改善、インスリンの分泌を促進し糖尿病を予防する、といった働きが確認されています。網膜にはタウリンがたくさん含まれることから、眼精疲労の予防・回復の作用も確認されています。目の健康や生活習慣病の予防など、今の時代にとても有用な成分なのです。

 いかの旨みは、魚と違って締めた後の熟成によって増加することがないので、新鮮なほど美味しいといえます。では、その美味しさを最大に味わうにはどうすればいいでしょうか。
刺身で食する場合、普段は胴を輪切りにするように切っていませんか。いか独特の歯応えを楽しみたい時は、いかの胴を縦半分ぐらいの長さに切り、次に胴を縦に切るように細く切っていきます。胴を縦方向に細く切ると今までとは一味違う歯応えよく、美味しい刺身が味わえるのです。

 では、いかを加熱する時はどうすればいいでしょうか。いかは熱がかかるとクルンと丸まってしまいますよね。これは、いかの胴にある皮が熱によって縮んでしまうことで起こります。いかの表面には4層の皮があり、料理で剥けるのはこのうちの2層だけ。剥けずに残る2層が加熱によって縮むのです。そこで加熱する時に、表面に鹿の子(斜め十文字の切り込み)を入れ、裏面に縦の筋を入れると、丸まらずに加熱できます。また、逆にこの丸まる性質を利用して、表面に鹿の子を入れ、裏面には何も切れ目を入れないと、クルンと内側に丸まって、鹿の子の切れ目がきれいに開いた華イカを作ることもできるのです。但し、気をつける点がひとつだけあります。いかを加熱して60℃を超えると、身がどんどん硬く締まってしまいます。ですから加熱を始めていかの身がふっくらとしてきたなと思ったら、加熱をやめるか、一旦いかだけを取り出すのがいいでしょう。そして他の素材に火を通して最後にいかを再び加えてなじませます。

 丸のままのいかが手に入った時の下ごしらえを紹介します。まずゲソと胴の間から胴の中に指を入れ、足と胴が繋がっている部分を外します。この時引っ張りすぎると墨袋やワタ(内臓)が破れたりするので、くっついている場所よりやや上の隙間に指を入れ、下に向かって滑らせるようにすると力もいらずに外せます。そして内側に残った細長い軟骨を引き抜き、よく水洗いします。輪切りにして使わない場合は、胴と足の境目から包丁を上向きに入れ、下から上に向かってそっと胴の切り開くと、ワタも軟骨も簡単に取ることができます。水気を押さえるように拭き取ったら、エンペラ(みみ)を胴から外し、そこを手がかりに皮を剥きます。皮が滑って向きにくいのでペーパータオルなどで皮をつまむといいでしょう。ゲソ(足の部分)は目と内臓の間に包丁を入れて切り離し、ゲソの目と目の間を切り開いて烏口(からすぐち・口)と目を取りましょう。ゲソをしごくと吸盤の中から小さい丸い輪っかが出てくるので、大きいものが出なくなるまでしごいて水で洗います。水気を取って足の先をほんの少し切り、長さを揃えます。2本だけ長い足も先を切り、他の足といっしょにします。
 ここまでできたら後はレシピにそって。すぐに使わない時はラップで空気が入らないように包んで、冷凍庫へ。自家製の冷凍なので1週間をめどに使ってください。さて、その解凍方法ですが、いかはどんな解凍をしても実はあんまり味の変わらないのです。だから急ぎの時は袋ごと流水解凍でも、凍ったまま鍋に投入もできます。

 最後に新鮮ないかの見分け方を。いかは獲れてから時間の経過とともに「色がえり」という、何度か色が変わったり元に戻ったりする現象を起こします。例えばスルメイカは、海から揚げた時には、興奮して頻繁に色を変えていますが、20分ぐらい後にはいったん白くなります。 この時にトロ箱に詰めたり、冷凍したりしてしまうと、白い色が定着します。 約40分後には光沢と透明感のある茶褐色になります。冷蔵保管している時に氷が当たると、そこは白くなってしまいます。冷蔵状態であれば半日〜1日で鮮度が落ちると、再び不透明な乳白色になり、冷蔵で獲れて2日ほどたったものは透明感のない赤っぽい色になります。最近は船上で茶褐色に固定させる技術や輸送技術の進歩で、都会のスーパーでも獲れて40分後のような光沢のある茶褐色のいかが売られています。色以外のチェックポイントは、胴に張りがあって真中が凹んでいないものが新鮮な証明です。
 さて、今夜はそんないかに思いを馳せつつ、イエローエプロンズのレシピで一献、いかがですか。

この回の特集レシピへ

おとくなキャンペーン

20歳未満の方は会員機能をご利用できません。

サントリーアカウントの会員としてご登録いただいている年齢が、20歳未満の場合、「レシピッタ」でのサントリーアカウント会員機能をご利用頂くことができません。何卒ご理解をお願い致します。